中波用ラジオと侮ることなかれ

 商用中波放送帯(530~1600kHz)を受信するスーパーラジオを作ってみたが、改めて筐体の構造上強度が極めて重要であると思い知らされた。今回製作したものは、同調用VCと局発用VCが一体化している親子バリコン(トラッキングレスバリコン、ギャンギングバリコンとも云う)ではなく、完全に独立仕様とした。つまり同軸上に2つのセクションがあり連動するのではなく個別に調整してトラッキングの整合性を求めるのが狙い。

安価な親子バリコンでは、回転角に対する容量変化が同調セクションと局発セクションでは比例せず、1.1MHzの帯域内で455kHzの差信号が全域で保つことが出来ない事象が発生する。基本シングルスーパーラジオの調整はバンドエッジで行うが、ロワー側・アッパー側の2点でアジャストされているに過ぎない。周波数直線バリコンなどではこれが解決されている場合もあるが、小型ポリバリコンにこれを望むのは無理と考えたほうがよい。

バリコンを独立させた理由は上記の通りだが、一方で電気的回路とは別に構造上堅牢な組み立てが行われないと、受信周波数の安定は実現しない。今回の製作では局発VCにはバーニアダイヤルを装着したが、バリコンの取り付けが「貧相」なために周波数が安定しない事象に見舞われた。0.3㎜のアルミ板にバリコンを取り付けたものの、ダイヤルを回すとトルクがかかってアルミ板が「たわんで」しまう。この「たわみ」が元に戻るときに周波数が動く(=バリコン軸が動く)のである。完全なトラッキングレスを狙っても、こういった要因で周波数が安定しないのでは実用にならない。ましてや同調VCと独立しているので、トラッキングのズレが顕著になり周波数が動くだけではなく感度まで悪くなる。

試作機とはいえ、さらなるリファインが必要なようだ。



中央のユニバーサル基板(局発回路)の上部にL字に曲げたアルミ板が見えるが、これに局発用VCが取り付けてある。ラジオを動かすだけで、受信周波数も大きく動いてしまう。基板とVCもワイヤを介して取り付けてあるが、余計なL成分として働くので周波数が安定しない原因ともなっている。受信周波数の安定を求めるには電気的にも機械強度的にも不安定要素を取り除くことが必須。現状では15分も経過すると、選局した放送が聞こえなくなる。



中波受信機でありながら受信周波数はデジタル表示。局発VCと同調VCを分離したためこのような仕組みにしないと、受信中の正確な周波数を掌握出来ない。操作としてはバーニアダイヤルを回して受信周波数を選択し、状態が最良になるよう同調用VCを回す手順となる。






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